人間ではなく、燕が住むマンション・・・。タイの南部ナコンシータマラート空港から約30分の田舎町パクパナン周辺には贅沢な燕たちがいる。偶然訪れた幸運、それが燕の巣マンションだ。

たびたび日本のテレビやニュースでも取り上げられるようになった燕の巣マンション。年々、マンションの数は増え続けて2011年1月の時点で250棟を超えるという。

もともと漁師町だったこの小さな町に、マンション経営を考えた元漁師がいた。大事な舟を売り、大金を投げ打ち、マンション工事に着手する。しかし不況の影響で工事を請け負った会社が倒産。納めた代金は帰ってこない、マンションの外枠の形だけが残り、内装は全く手付かずの状態が数ヶ月続いた。このまま生きていてもと町をさまよい、人生に見切りをつけ、でき損ないのマンションで首を吊ろうと決意、そして向かった。

首吊り用のロープを用意して、立ち入り禁止のマンションをゆっくりと開けた。真っ暗なビルの中に入っていく元漁師。鼻を突くような悪臭、何かの物音、恐る恐る手探りで階段を上っていく。

騒ぎ声か?と感じながら、2階のドアを開けた瞬間、そこには無数の燕の巣が飛び交っていた。

気持ち悪いながらも掻き分け真っ暗の部屋の中に入っていくと、白い光るものが壁にへばり付いている。

力なく痩せこけた顔に、いつか新聞で見た中華料理に使う燕の巣という食材が頭に浮かんだ。もしかして・・・これが、燕の巣というものか!?

これが、この地区における燕の巣マンションの始まりのようですが、しかし、なぜマンションに燕が営巣したのか。それは偶然にもある条件が重なって生まれた環境によるものだったそうです。①雨風をしのぐために、設置されていなかった窓の部分に元漁師がダンボール補強、マンション内は真っ暗だった。②では燕はどこから入ったのか。空気口として作られたパイプの穴が丁度、燕の巣が入れる大きさだったため、外敵は入れず、天然の洞窟に似た環境が偶然に整ったのだった。

信じがたい現実に不安を覚えながらも、ビニール袋に幾つかの白い乾いた物体詰め込み、中国料理問屋に持ち込んだ。バイヤーらしき男が電卓でナニやら弾き出す。そこには10万バーツ、日本円にして約30万円の値が付いた。一夜にして彼は億万長者の仲間入りを果たしたのだった。

この出来事は当時、地元新聞などにも取り上げられ、一躍、時の人となった。

以下、地元で紹介された際の新聞記事(チャロー・シリカナ氏)

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